報道写真の利用と引用の成否 - グローリア・ルジベット特許事務所

報道写真の利用と引用の成否

最近、ニュース等で頻繁に話題に上がる著作権侵害。
今回は、宗教団体がどの機関紙に掲載した写真の利用をめぐって同団体の会員と争った事案について説明いたします。
知財高判令和7年7月31日(令和6年(ネ)第10075号,創価学会対Y,損害賠償請求控訴事件)です。

原告(控訴人)Xは宗教法人であり、被告(被控訴人)Yは同宗教法人の会員です。Yは、Xが発行元である聖教新聞の紙面に掲載されていた記事を、スマートフォンを用いて、写真1枚に写り込む限度で写真1~37を撮影し、これらを数十回にわたり、投稿本文を伴った状態でTwitterに掲載しました。
これに対し、Xは、YがTwitter上にした投稿が、写真1~37の著作権侵害(送信可能権侵害など)にあたるとして、Yに対し損害賠償請求などをしました。

原審(東京地判令和6.9.26判タ 1535号247頁)は、写真1~37について引用の抗弁の成立を認め、原告であるXの請求を棄却しました。
これに対して、Xは控訴しましたが、結果的には控訴棄却されました。

著作権法32条1項には、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」と規定されています。
ここで、引用の目的上正当な範囲で行われているか否かに関しては、本件に関しては、「聖教新聞を含む報道機関は、その報道する出来事を広く知らしめ、読者による意見等の形成に資することを目的として記事及び報道写真を作成し、掲載している」ことから、そのような「記事及び報道写真の性質に照らすと、引用の必要性を厳格に要求することは相当ではなく、特に、本件のようにXの機関紙の読者が、当該機関紙が報道した出来事の内容に言及し、批評を加える場合には、表現活動の自由を保護する必要性が高いから、論評と当該出来事との関連性が認められる限り、他の引用の要件が認められることを前提として、引用という形での利用を認めるのが相当である。」と判示されています。
そして、Twitterの文字制限があることを鑑みても、表現活動の自由を担保する観点から引用の主従関係(論評内容の方が主である。)を肯定し、聖教新聞の題字が写真1~37に写り込んでいなかったとしても、前後の文脈等からして、引用する側と引用される側の著作物の間の明瞭区別性を肯定し、結論としてYがTwitter上にした投稿が「引用」に当たるとしました。

論評は批評を加える目的で、Twitterに報道記事(写真を含む。)を投稿する一般的なケースにおいても、射程に含まれる可能性があり、注目に値します。
ただし、本事件は上告受理申し立てがされており、今後の動向が注目されます。

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