特許庁の判定制度およびセンター判定 - グローリア・ルジベット特許事務所

特許庁の判定制度およびセンター判定

特許庁の判定制度およびセンター判定:

特許発明や登録実用新案の技術的範囲、登録意匠やこれに類似する意匠の範囲、および商標権の効力の範囲について、特許庁が、請求に応じて、中立・公平な立場から判断を示す制度として、判定制度があります。
判定制度は、例えば特許権を保有する人が、他人の商品等が、自分の特許発明の技術的範囲に含まれるか否かを知りたいような場合に、利用することが出来ます。

あるいは、ある商品の実施を計画中又は既に実施中の人が、その商品が他人の特許発明の技術的範囲に含まれるか否かを知りたいような場合にも、利用することが出来ます。

判定制度は、特許庁による中立・公平な立場での判断が、早ければ3か月程度で、しかも1件につき4万円という安価な費用で、受けられるという点で、優れています。

しかし、判定制度により示される判断は、あくまでも行政サービスの一種として示されるものですので、法的拘束力はありません。

とはいえ、判定制度で得られた判断結果を、相手方に示すことにより、人的・時間的・金銭的負担の大きい裁判所への訴訟の提起に頼ることなく、適性金額による和解などにより迅速に紛争を解決する為に用いることも可能であり、有利です。

ただし、ここで特に留意が必要なのが、判定の結論が示された判定書の内容は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)等において公に開示されてしまうという点です

具体的には、特許に関しては、出願番号等を入力してJ-PlatPatで検索すると、検索結果として最初に示される画面に、判定公報の番号等が表示されます。

商標に関しては、出願番号等を入力してJ-PlatPatで検索しても、検索結果として最初に示される画面には、判定に関する情報は示されないものの、その後に審判情報等の詳細を表示させると、やはり判決公報の情報等がスクリーンに表示されることとなります。

そのような点を懸念してか、最近では、特許庁の判定制度の利用頻度が、大幅に下がって来ているのが現状です。

一方で、判定の判断結果が公示されない、別の手段として、日本知的財産仲裁センターによる「センター判定」というものも、用意されています。

センター判定は、2004年3月より開始された、日本弁理士会と日本弁護士連合会により設立されたADR(裁判外の紛争解決手段)機関であり、少なくとも弁護士、弁理士の2名を判定人として、審理判断がされます。

特許庁の判定との差異の一つとして、センター判定では、職権による審理が行われない点があります。すなわち、センター判定では、当事者が提出した証拠のみに基づいて審理がされるのが原則です。

センター判定で示される判断は、判定人の意見に過ぎませんが、判定人候補者名簿を参照すれば判るとおり、通常、ベテランの弁護士・弁理士らが判定人となって審理がされるので、技術的範囲への属否等についてセカンド・オピニオンを得たい場合等に利用価値があると考えられます。

また、先にも述べたとおり、センター判定の判断の結果は、公表されないため、その点では特許庁の判定よりも利用し易い場合が多いです。

この様に、簡易な手続きで技術的範囲への属否等について見解を得たい場合に、判定やセンター判定等の制度を検討してみるのも得策です。

(2025.10.30)

コラム一覧

TOP
LINEでお問い合わせ お問い合わせフォーム