色を異ならせた商標の登録必要性について - グローリア・ルジベット特許事務所

色を異ならせた商標の登録必要性について

色彩は、商標の構成要素の一つであるので、他の商標との類似性を判断する際においても考慮に入れられます。
しかし、色彩を先行商標と異ならせただけで、商標権侵害を簡単に免れ得る(先行商標の商標権者からの権利追及を免れられる)としたら、商標法第25条の使用権の専用的効力を潜脱できることとなり、妥当ではありません。
そこで、このような潜脱行為を防止するために、商標法第70条第1項において、「登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるもの」については、商標法第50条における「登録商標」に含まれると規定されています。
具体的な事案として、平成29年(行ケ)第10052号の事件が挙げられます。

この事件においては、本件商標(商標登録されているもの。)は色彩の特定がされていないものであったところ、使用商標は、商標を構成する文字のうちの一部の文字のみが赤色に着色されていた点が、問題となりました。

しかし、裁判所の判断においては、赤色に着色されている文字は、商標全体から見ると一部に過ぎず、また赤色に着色されることによって使用商標が本件商標と非類似となるに至ったわけではないため、本件商標と使用商標の同一性が認められました。

なお、この事件とは異なり、色彩を付すことで商標の印象が著しく変わり、非常に特徴的になるような場合には、同一性が認められなくなる可能性が高いため、色彩を異ならせた商標についても商標登録を行っておく方が安心です。

上記で紹介した色彩に関する考え方は、日本における話ですが、商標における色彩の扱われ方は、各国の商標法制度のプラクティスによって様々であるため、国に応じて対応法を個別に検討する必要があります。

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